治療系風俗店潜入レポート(1)

文・麻マラ 彰晃

 日々増殖を続けるS宿K舞伎町の風俗店。いくら紹介しても、それこそ雨後の竹の子のように新店がオープンするので(その分潰れている、もしくは店名を変えたり、引っ越している店も多いのだけど)、川の水をしゃもじですくっているようなものですが、また1つ、ガンジスともナイルとも言われる(嘘)K舞伎町の流れに船を乗り出した店がある。
――S宿病院セックス専科「治して・あ・げ・る」
 店名からいって、ナース・女医系のイメクラだろうが、少々硬めの病院名の後に、「治して・あ・げ・る」と、取って付けたように付け足してあるところに、麻マラの嗅覚に訴えるものがあった。
 チラシの宣伝文句には、
「美人女医と可愛い子ちゃん看護婦が、あなたのセックスの悩みを解決します」
と、堅苦しい。さらに、
「世界初! 治療行為の認可を受けた風俗店。要保険証」
 本格的、といことだろうが、要保険証というのは? うーむ。これはただものじゃない。
 地図を見ると、店は入り組んだ裏通りにある。K舞伎町初級者にはわからないかもしれないが、そこは達人麻マラ。すぐにピンときた。
 なーんだ、「ナースがママ」の跡地じゃないか。
 「ナースがママ」はマザコン層をターゲットに、ナースを初めとする制服プレイを充実させたイメクラだった。助産婦まで揃えた徹底ぶりが売りで、当コーナーでもオープン早々紹介し、熱烈なファンを獲得していた。しかしやっかんだ競合店から未成年者を送り込まれ、当然ちくられて、未成年者を就業させた件で摘発を受けて潰れたのが半年前のことだ。
 「ナースがママ」がパワーアップして帰ってきた! あの愚直なまでの真面目さは、「ナースがママ」以外には考えられない。
 かくして麻マラは、開店初日の午前中に乗り込んだのである。

 出迎えたのは白衣を着た青年。胸にインターンのネームがある。
「診察券はお持ちですか?」
 インターンの青年がさわやかに聞いてくる。きっと会員証のことだろう。開店初日なんだから、と思いつつも、
「あの、初めてなんですけど」
「初診ですね」
 ここからが既にプレイの1部なわけで、確かに凝っている。感心するまもなく、さわやか青年インターンは、
「保険証はお持ちですか?」と、畳みかけてくる。
「保険証がないとだめなんですか?」
 勿論用意してきているのだが、これは取材もかねているので、一応聞いてみる。
「保険が利きませんので、全額負担となります。被保険者3割り負担の診察料がこの金額になりますから、保険が利かないと・・・」
 青年インターンが電卓を持ち出して計算しようとするので、
「いいよ。3倍ちょっとでしょ」
 保険が利いた金額は、特に相場より高いというわけではない。ただそれを基本料金とすれば、オプションにどれだけかかるのか。
「あの、もうちょっとシステムとか、教えてもらえますか? それから、入るかどうか決めてもいいでしょ?」
「システムといいますか、まず、診察しまして、治療が必要な場合には充分な処置を施しまして、それに対して治療費をご請求いたします。治療にも保険が利くものと利かないものがありますが、保険の利かない治療に関しては、事前にご相談します」
「つまり、追加料金はその治療内容次第だと?」
「そうなります」
「治療なしで、診察だけしてもらうことは?」
「まあ、必要と思われる処置は主治医がおすすめするでしょうが、嫌だというのを無理矢理治療するということはありません」
 なんだかはっきりしないが、ま、ここでねばる分にはただなので、もう少しねばることにした。
「ところで、どんな娘がいるの?」
「当院にはアンヌ先生とマリア看護婦がおります」
「え? たったふたり?」
 オープン初日。しかもまだ午前中。他の娘がみんな接客している、なんて雰囲気は全くないのだが。
 しかし差し出されたポラロイド写真に、麻マラの目は釘付けになった。ありがちに髪を染めたふたりだが、どちらも抜群に可愛かった。K舞伎町広しといえど、これほどの上玉にはなかなかぶつからないだろう。アンヌ先生の方がショートカットが似合う美人で、まさにこんな先生に診てもらいたいといったタイプ。スレンダーなボディに白衣がよく似合う。マリア看護婦はふっくらしている分胸が大きく、明るく活発な感じがする。こんな看護婦さんがいれば、入院生活もさぞ楽しいだろう。
 ただ、どこかしらふたりの顔立ちは似ていて、丁度一人の漫画家の描く、ふたりの美人キャラのような感じがした。ま、おやじになると若い子はみんな同じ顔に見えてしまうものだし、姉妹とか、従姉妹とか、血が繋がっている可能性もある。
 こんな可愛い娘にお願いできると知っていれば、こんなところで愚図愚図してはいなかった。とはいえ、どちらか一人を選ぶのはかなり困難で、さんざん迷った末、豊満な胸に惹かれてマリア看護婦を選ぶと、
「初診ですから、まず医師の診断が必要です」
 確かにおっしゃる通り。だけど客商売でしょ? 凝り性の人にはいいかも知れないけど、もう少し融通利かせた方がいいんじゃない?
とは思ったが、初めての店でトラブルは起こしたくない。アンヌ先生もお願いするには申し分のないタイプだから、文句は言わないことにした。
「えーと、保健なしでよろしいんですね」
「いや、ちゃんと持ってるよ」
 インターン青年は呆気にとられながらも、
「それではお名前をお呼びするまで、かけてお待ち下さい」
と、保険証を持って奥に消えていった。

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