日本歌謡のオノマトペー

(「昭和歌謡の風景」予告編)

北海道

そうらん節

ヤーレン ソーラン ソーラン・・・

 いうまでもなく、これは漁師唄で、網を引く際に歌われたものです。ですから、「ヤレ、ソレ」というかけ声に、「ン」と力が入ったのではないかと想像したのですが、民謡的には、「ヤレ」というのは、「(その先を)やれ」、「それ」というのも同じような催促の囃し言葉のようで、網を引くかけ声からの変化ではないようです。確かに、「ヤレ」とか「ソレ」とかは、ほかの民謡でも聴かれる囃し言葉ですから。

イヤサカ節

イヤサカサッサ

 これだけじゃよくわからないかもしれませんが、歌詞を見てみると、

あねここちゃむけ かんざし落ちる
ハァ イヤサカサッサ
かんざしおちないナ 顔見たい
アリャ顔見たい おちないナ
顔見たい ハァ イヤサカサッサ

といった具合に、男の風上にも置けない歌詞です。男から見てもそうなんですから、女性から見れば反吐が出るでしょう。この「イヤサカサッサ」は「あねこ」の拒絶の言葉のように聞こえます。「イヤだからサッサと逃げる」みたいな。
「来いちゃ来いちゃで 二度だまされた またも来いちゃでナ だますのか」
「来いちゃ来いちゃ」というのが北海道らしく、ついついだまされそうですが、二度ならずも三度までとはずうずうしい。
「十七八なら山さもやるが 山に人刺すナ 虫がいる」
 虫というのは、きっとちんちん持った虫でしょう。サッサと逃げるに如くはない。

江差追分

ソイーソイ

 これも舟歌ですが、「ソーラン節」とはうってかわって、非常に静かな感じのする唄。「ソイ」というのはすーっと船の進む様とも、櫓の音とも聞こえます。今だったら、「スイスイ」?

スイースイ
雪の スイ
空より スイ
ほのぼの スイ
明けてスイ スイ
雲の スイ
かなたに スイ
蝦夷がしまスイ

 これじゃ、まるでミズスマシ。水たまりのスケールだ。

磯浜盆唄

ヤチャマカ サイサイ ヤッケ ドッコイショーササヨイトナー
 よく民謡に使われるお囃子もありますが、「ヤチャマカ」と「ヤッケ」というのはよくわかりません。
「ヤチャマカ」は、「やっちまうか」でしょうか。
「ヤッケ」は、まさか防寒具のヤッケではないでしょう。「○○してやっけ(やるけん=やるから)」というのは九州の方言だし、「○○やっけ(だっけ)?」は中部以西に多い。「やっけー」とのばして、「厄介だ」とか、「柔らかい(やっこい)」という意味で使う地方は多いが、囃し言葉としては合わないような気がします。

ピリカ ピリカ

ピリカ ピリカ

 アイヌ民謡はアイヌ語を解さぬので、歌詞とお囃子に区別がつきません。雪村いづみに歌われて有名なこのわらべうた、「ピリカ」という言葉が繰り返されますが、これは「よい、美しい、優れた」という意味の言葉で、歌詞の一部。
 近藤鐘二郎による日本語訳では、
「今日はよい日だよ よい子がいるよ その子はだれよ」となっていますが、これは正確ではない。
「今日は好いお天気だ どなたがお好き えらんであげよ」と訳す人もいます。
 しかし、最後の部分は一人称であるべきとの声もあり、そのため文法に詳しくない日本人、もしくはオーストラリア人宣教師が作ったのではないかという説もあります。とすれば、
「今日はよい日だ 誰がいいかな 選ぼうかな」
というのが近いところでしょうか。確かにそんな子供の遊びが、どこの国にもあるような気がします。

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